俺妹アニメ原作改変で浮上する盗作問題

今時点で既出な話題となってしまうだろうが(昨年の話だからねぇ)
アニメ版俺妹の8話を観て、甚だ複雑な心境に陥ってしまっている

...基本的に現時点で原作小説は5巻途中まで読んでしまっているので、
そのあとアニメ版の3~8話までを遅ればせながら視聴してしまった
自分はいわゆる地雷を踏んでしまった、ということなのだろうか?(苦笑

正直あれはない...というかアニメ版には、ことごとく違和感を感じてしまう
(冒頭の1話2話が割と好感触だったのが嘘のよう)予め刷り込まれてた
曲がりなりにも(笑)原作の感動する場面の作り方が、どう考えても
軽いというか、どことなくやっつけ風に感じられてしまうんだよなぁ...

原作のよさを活かしきれていない気がしてしまう、そういう残念さ
(これはアニメ化にあたり比較的ライトなノリを要求される本作ならでは、
なのだろうが...実質的に1クールという時間制限もあっただろうし)

それがここへ来てのアニメ版の改変オリジナル話で思い切り滑ってしまってる

よくよく事情を調べてみれば、盗作問題は電撃文庫的にタブー
(憂うべきことに昨年二件が発生)のようで、ならばということで
「アニメだからアニメ化!」という文脈にてオリジナルとして代わって
作られたものが、妙に取ってつけたような唐突なものにしか思えない
(この盗作問題に関して脚本の倉田氏は表向き否定してますが)

――原作3巻における桐乃ケータイ小説の被・盗作エピソードは、
この因縁の兄妹のテーマの根幹とも言える部分を導き出したのみならず
黒猫という共通の友人と兄自身とのオタクと一般人を越えた、いやむしろ
完璧妹への複雑な思いを共有する盟友としての側面をあぶりだした良エピソード
とも言えただけに、それが一切なくなってしまっただけでも大打撃だった...

だから制作の土壇場で出版社側の事情で差し替えざるを得なかったという
拠所ない理由があったのだとしても、それを余儀なくされてしまった時点で、
一作品としては既に失速してしまったとしか言いようがない――
ある意味でこれは、そういう誠に不幸な事件でもあるように思う

しかして、それを逆手に取ったのかどうか判らないが、このケータイ
小説アニメ化というオリジナルエピソードにて奇しくも「原作改変」という、
そもそものネタをどこか自虐的に恣意的なまでに実践し描いている?
(シリーズ構成の倉田某としては、やはり確信犯的?笑)

なるほど、オタクの実情を描く作品だったのが、原作の出版業界のみならず
今度はアニメ制作業界の痛々しい裏事情までも吐露しているという内容...
要するにメタフィクションともいえる発想については高く評価できるだろう

現場スタッフに無理難題を押し付けてくる制作上部への皮肉であるとか
あるいは実際に某Pがツイッターにて噛み付いた件も絡んで、放送当時は
2chなどで小規模な祭りになったようだが、言われてみればアニメ制作の
いたたまれぬ現状について思わぬ藪を突いてしまった、そんな複雑な感慨が
起こらないわけでもない、ある意味とても興味深い内容だったかもしれない


それでも元々のこの俺妹のストーリー自体には、おそらくアニメ化されるまで
一切無関係だったのに違いないそれは、どこか本来あるべきシナリオが
上滑りしてしまった、そういう致命的な違和感を覚えるものでしかなかった
のだから、何とも...やはりどうしても原作通りに出来なかったんだろうか?

原作で描かれていた微妙な兄妹の関係、そして彼らを取り巻く黒猫ら
オタク友達との交流にて生まれた微細な心の機微が、アニメ版では描くべき
所でしっかり描かれていないので、その後の話にしても、どうしても微妙な
齟齬が生まれてしまうだろう、それについては繰り返すが非常に残念だった

あの黒猫に対する実りある愛ある痛烈なダメだしエピといい、
のちに同じ高校に進学してくるまで「兄さん」と呼び続ける(笑
京介との微妙な関係といい、黒猫さん結構キテタのにw
(マスケラ二次絵が上手すぎるぜ♪)


同時に奇しくも浮かび上がった昨今のラノベ活況と盗作問題――これは
別にラノベだけに限ったことではなくて漫画業界でも記憶に新しい事件
でもあるが、特に最近とみに注目を集めており、実際ラノベ界でトップを
激走している電撃文庫ほかの現状を、おもむろに思わずにはいられない

純然たる模倣はOKだがトレースはいけない、そんな当然の倫理さえ
理解していない若手作家の温床というと確かに聞こえは悪いが、実際
なぜ出版目前で作品それ自体の検証を徹底させていないのかという
疑問も残る...もし売ることやデビューさせることばかり念頭に置いていて
疎かにされていたのならば、やはり問題だろう(にしても角川多いな)

俺妹では妹桐乃の一エピソードとして描かれたにすぎなかったそれも、
蓋を開ければワナビと揶揄される作家志望者と、彼らに纏わる創作への
真摯な情熱ながら、必ずしも希望通りに結実する保証のない冷厳な現実への
失望や焦燥感、そしてだからこそ幸運にも狭き門の中から選ばれた作品と
その作者の思いをつまらぬ嫉妬心で汚し潰してしまってはいけないという、
そんな創作それ自体の行為を大切に護ろうとする、同様に作品を生み出す
創作者としての良心が好意的に描かれた、複雑かつ感動的なエピソードだった

↑この辺についてもアニメ版はムリヤリ感強しw
アニメ関係者を前にやたら態度のデカイ黒猫とイタイ兄貴
(...としか見えないところが哀しいw)

それは個人的にも、とても共感できるストーリーであり、同時に非常に
痛い部分を的確に突かれたとも感じた、やはりどちらにしてもリアルな話、
電撃ならでは描くことのできた赤裸々なアプローチではなかったかと
思う――それだけに、ここの所頻発している盗作問題それ自体も、その
同様の思いが引き起こしてしまった一つの悲劇ではないかと感じる

例えそれがやむにやまれぬ行為であったとしても、当然許される
はずもない、リアルな葛藤...俺妹は、そんな別の意味のタブーにまで
きっちり言及し、オタク業界に存在する広い意味での創作そのものの
是非にまで突っ込んで描いている、それをおそらく電撃の某カリスマ
編集者M氏は、原作にて確信犯的に描こうとしていたのだろう

(それを転じてアニメ業界の矛盾へと描き込んだ点ではアニメ版は
これはこれで評価できるけどね?要するに苦肉の策だったのかも)

兄と妹という普遍的な日常ストーリーの中に何気にそんな隠しテーマを
仕込んでいる時点で、ついおぉ!と身を乗り出してしまうのだが(笑
作品として、そんな実はなな意図が個人的には非常に興味深くもある、
それは確かに一つの事実であるだろうし、そこが俺妹が単なる萌系
(むしろ屈折した妹モノw)ラノベに終わっていない所以だろうと思う

色々な意味で人と世界は様々に巡り巡って繋がっている...
そういう現実感と地続きな感慨に思わず浸ってしまう、俺妹なる作品が
そういった今ここにある現実を至極肯定的に「これでいいのだ」と示唆して
くれている緩衝材になっている、そう考えるのはやはり考えすぎだろうか?

実はこれもラノベ的自由度のなせる技かもしれない――そんなよくも悪くもな、
お節介な可能性を認める柔軟さに包まれる僥倖を感じた一つの顛末だった

しかし、声優まで既に決めてたりする原作者の妹に激しく既視感を
覚えつつ苦笑い(でも小野Dには真面目に待ってて欲しいw)

はいはい、ワナビワナビw




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